探訪ツール(1)国立国会図書館の個人向けデジタル化資料送信サービス

1 国立国会図書館デジタル化の概要

国立国会図書館(NDL: National Diet Library, Japan)は、国会に属する唯一の国立図書館で、東京は永田町、国会議事堂北隣の東京本館のほか、京都府に関西館、東京の上野公園に国際子ども図書館があります。国内で発行された全ての出版物の他、海外の出版物、国内のウェブサイト、電子書籍・電子雑誌を収集しており、所蔵点数は5000万点に迫ろうとしています。所蔵資料は、貸出不可、国立国会図書館内でのみ閲覧・利用可です。

この国立国会図書館、「資料デジタル化基本計画 2021-2025(ビジョン2021-2025)」に基づいて、「情報資源と知的活動をつなぐ7つの重点事業」を展開しており、その一環として、資料のデジタル化を加速し、インターネット提供資料を拡充しています。2021年6月の著作権法一部改正によって、著作権保護期間が満了した資料や著作権者の許諾を得た資料については、インターネット経由で個人に送信できるようになりました。この法律改正に基づくシステム、個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信サービス)は、2022年5月19日から実運用が開始されました。その数、205万点(2024年6月末時点)です。なお、個人送信サービスの利用は国内在住者限定で、利用者登録(本登録)が必要です。詳しくは、下記サイトをご覧下さい。案内動画も用意されています(下記をご覧下さい)。

当サイト『理系書探訪』では、カテゴリー「書評記事」や「NDL通信」のなかで、NDL個人送信サービスで閲覧可能な “理系名著” を紹介しています。

(図は国立国会図書館、ビジョン2021-2025より)

2 国立国会図書館サーチの案内動画

国立国会図書館のオンラインサービス 「国立国会図書館サーチ」では、案内動画が用意されています。現在の案内動画は、概要編、利用者登録編、デジタル資料を閲覧する、の3本です。

* 国立国会図書館サーチ(概要編)

* 国立国会図書館サーチ(利用者登録編)

* 国立国会図書館サーチ(デジタル資料を閲覧する)

3 国立国会図書館デジタルコレクション

国立国会図書館のオンラインサービス 「国立国会図書館デジタルコレクション」 では、様々な資料がデジタル化され、デジタルコンテンツの国際的な識別子であるデジタルオブジェクト識別子(DOI)が付与されて管理されています(下図は国立国会図書館デジタルコレクションHPより)。

当サイト『理系書探訪』の「書評記事 第1話 渡辺慧『生命と自由』」を個人送信サービスで閲覧してみましょう。

〈1〉 国立国会図書館サーチで検索します。「全国の図書館」のチェックを外し、「インターネットで閲覧できるものに絞る」のトグルボタンを「ON」にしておきましょう。そして、検索します。

〈2〉 検索結果のリストから、所望の資料を選びます。検索結果が多い場合、絞り込み条件にて、「資料種別」の全選択を解除し、必要な条件を追加します。

〈3〉 ログインしていない場合、つぎの画面が現れます。「個人送信サービスを利用する」から「ログインする」を選択します。利用者の本登録がお済みでない方は「利用者登録する」をクリックして現れる登録案内から「新規利用者登録」に進みます(本人確認書類が必要です)。詳しくは、上の案内動画をご覧下さい。

〈4〉 ログインすると、国立国会図書館デジタルコレクションのコンテンツの閲覧画面が表示されます(Mozilla Firefox 115 以前のプライベートブラウジングでは閲覧画面が表示されないとのことです)。PCとスマホで操作方法がかなり違います。画面上の「?」マークをクリックすると、それぞれの利用案内が表示されます。このPC版のヘルプは

から参照できます。

PC版では、拡大・縮小、画面移動、全画面表示、回転等が可能で、さらに独自のキーボード・ショートカットが有効になっています。補助キーなしに動作するので注意が必要です(たとえば、キーボードの j で反時計周りに90度回転する)。つぎの画像は、上記の「ヘルプ」に掲載されているものです。

印刷機能を使って50コマ単位で PDF ファイルに落とすこともできます(利用者ID等が漉き込まれます)詳細は上の「閲覧画面のヘルプ」をご覧ください。

〈5〉国立国会図書館デジタルコレクションの公式ページでは「タブレット等」という言葉はありますが、「スマートフォン」など、その他のデジタル機器は明記を避けているように思えます。実際に、スマホ版の閲覧画面の「?」を見ると、つぎの3つの操作のみが紹介されています(2024年6月30日)。

  • 《ページを送る》1本指でフリックする/画面の左右をタップする
  • 《画面を動かす》2本指でスワイプする
  • 《資料の情報・目次を見る》右上の x をタップする

これ以外に、2本指のピンチ操作で画面拡大縮小が可能です。ただし、通信状況によっては、画像が画面外に飛んでしまうことがあります。PC版の「画像全体を画面内に収める(ショートカットは g )」は、ブラウザの再読み込みボタンで代用できそうです。タブレットでは、画面の拡大縮小をしなければ、快適に使えています。画像は、大抵、一コマ2ページです。「設定」・「表示する単位」には「一コマずつ表示」という条件がありますが、残念ながら選択できない場合が多いようです。閲覧画面右上の点付き三本線をクリックすると、コンテンツ全体のサムネイルを表示できますから、これをうまく使えば、通信状況等による表示不良には対抗できると思います。

当サイトでは、個人送信サービスシステムの開発・改修・改善状況にも注目していきたいと考えています。

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