書評記事 第7話 北川敏男編『サイバネティックス』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ ノーバート・ウィーナーの『サイバネティクス』(1948)は欧州各国の科学技術政策に多大な影響を与えましたが、日本においても、戦後発足したばかりの日本學術會議が動き、「境界領域の問題討論會」を上野の学士院で1952年10月に開催、その議事録が、みすず書房「現代科學叢書」の記念すべき第一巻『サイバネティックス』として出... 2024年9月6日 探訪堂主人
書評記事 第6話 ラッセル・ショート『デカルトの骨』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 近代の厳密自然科学の礎を築いた偉人ルネ・デカルト。彼の死後、自分自身の心身二元論を象徴するかのように、その遺骨は頭部と胴体が分離、頭部は行方知れずとなった。本書は、その頭部の行方を追うノンフィクション・スリラーの傑作。インターネットで読める、デカルト評伝の決定版、バイエ『デカルト伝』の旧版なども紹介する。... 2024年8月2日 探訪堂主人
書評記事 第5話 石原藤夫『SF相対論入門』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 伝説の雑誌「宇宙塵」のころから活躍する日本SF界の重鎮、石原藤夫が書いた日本初の一般向けの相対性理論の入門書『SF相対論入門』を紹介。本書を皮切りに石原の恒星間飛行をまじめに扱った「銀河旅行シリーズ」が展開されることになります。石原ハードSFの金字塔『宇宙船オロモルフ号の冒険』なども解説、あなたも、専門バカに向けた... 2024年7月5日 探訪堂主人
書評記事 第4話 デュ・ソートイ『知の果てへの旅』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 深化し拡大する人類の科学的知見。著者は、そのような「人類の知」に果てがあるか、人類の知がどんなに発達しようとも答えられずに終わる問いが存在するか、そこに、超越者たる「神」が住まうのかを問います。カオスとシンメトリー、量子現象、宇宙の始まりと終わり、時間と空間、意識、自己言及等々、デュ・ソーソイは人類の科学的認識の果... 2024年6月7日 探訪堂主人
書評記事 第3話 アベラ『ランド: 世界を支配した研究所』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 物語の舞台、ランド研究所は第二次世界大戦後のアメリカ合衆国に誕生したシンクタンクで、空軍の創設者、ヘンリー・アーノルド元帥がダグラス・エアクラフト社の幹部に命じて設立したプロジェクト・ランドを母体とする民間企業である。本書は、“核の真珠湾攻撃” に脅え、人類を滅亡へと導く核兵器が作りだした東西冷戦期において、フリシ... 2024年5月10日 探訪堂主人
書評記事 第2話 服部晶夫『多様体 増補版』/志賀浩二『多様体論』を読む ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 現代数学の中心概念のひとつ、“多様体” は非線形科学の数学的舞台であり、曲線や曲面の概念を一般の次元に拡張/抽象化して得られる。今回は、先輩に「M を多様体、T(TM) を接バンドルの接バンドルとして、、、」などと言われて目を丸くしている新人さんのために、可微分多様体論の代表的な教科書2冊を中心にとりあげて紹介しよ... 2024年4月12日 探訪堂主人
書評記事 第1話 渡辺慧『生命と自由』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 寺田寅彦が夢見た “物理学と生命科学/精神科学の統合”、この夢に物理学と情報科学の視点から迫った門下生がいました。ド・ブロイ、ボーアらの薫陶を受けた日本理論物理学界の貴公子、渡辺慧です。渡辺はウィーナー『サイバネティクス』の目的論的機械論を超える難解な “自由意志の数学的理論” の雛形を後世に残しました。その一般向... 2024年3月15日 探訪堂主人