書評記事 第19話 ディーン『恐竜を発見した男: ギデオン・マンテル伝』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 現生動物の骨格に類似する “石の骨” が地中から掘り出されることは古代から知られていました。これら “発掘物” は海に消えたアトランティスの遺物か、あるいは “土の造形作用” の仕業か。答えは “マンモスの同定” で知られる比較解剖学者ジョルジュ・キュヴィエの1790年代の研究で初めて与えられました。パリの地にかつ... 2025年10月17日 探訪堂主人
書評記事 第18話 ガートナー『世界の技術を支配するベル研究所の興亡』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 革新的技術を生み続ける組織の要件とは何か? その答えを求め、1925年に発足したベル電話研究所の指導者たちは、創業者グラハム・ベル流の技術開発を超克すべく、米国、量子物理学の指導者ロバート・ミリカンの助力を得て、優れたアイデアを理論から導く研究者の積極採用に踏み切ります。接合型トランジスタのショックレー、情報理論の... 2025年9月19日 探訪堂主人
書評記事 第17話 セグレ『X線からクォークまで』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 数学だの物理だのといえば、あの変人たちの喜ぶ意味不明な概念と数式の羅列に、若き日の嫌な記憶が蘇ってくるばかり、、、。ところが、『X線からクォークまで』の著者セグレは、彼らの変人ぶり、人間的要素を辿れば、スリリングなその人生模様とともに、彼らの “仕事の中身” に近づけるといいます。孤高の研究者有り、いつの間にか “... 2025年8月22日 探訪堂主人
書評記事 第16話 デイヴィス『幸運な宇宙』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ あらゆる自然法則を生み出すただ一つの言明、“万物の理論”。そのような理論があるなら、すべての物理定数が、何故、その値なのかを説明するはず、、、。一方、特定の物理定数のわずかな変更で生命、星、銀河、さらには宇宙そのものが安定しては存在しないことが明らかとなり、その意味を巡り、数学寄りの説明「多宇宙論(マルチバース)」... 2025年7月11日 探訪堂主人
書評記事 第15話 渡辺慧『認識とパタン』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 1956年、IBMワトソン研究所に活躍の舞台を移した理論物理学者、渡辺慧は、近代厳密自然科学の方法論による “自由意志の謎”の解明に向けて、独自の情報理論の構築を開始します。本書『認識とパタン』は,1939年、情報論的エントロピーを世界に先駆けて導入した渡辺が、1960年代当時の情報理論応用の最先端課題、“パターン... 2025年6月20日 探訪堂主人
書評記事 第14話 ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ ベストセラー旅行作家にして、科学とは無縁だったビル・ブライソンが一大奮起、3年の歳月を費やして多数の専門家を訪ね、この世界の理系的理解の全貌に挑んだ傑作です。門外漢には退屈極まりないポピュラー・サイエンスに、こんな見方があったのかと、探訪堂も驚愕の一冊。この記事では、ベストセラー『人類が知っていることすべての短い歴... 2025年5月30日 探訪堂主人
書評記事 第13話 ミチオ・カク『2100年の科学ライフ』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 令和の御代、“世界中でZ世代悲観論” が渦巻き、統計調査によれば、かれらは、人工知能による社会監視強化の未来に萎縮し、それと同時に、自分たちにそのような社会を変える力はないという無力感をも抱いています。しかし、かれらに寄り添う “フレンドリーな人工知能” のある未来を描く強い味方もいるのです。その名は、ミチオ・カク... 2025年4月25日 探訪堂主人
書評記事 第12話 小松左京『小松左京自伝』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 戦前の「空想科学小説」が米国からの新風を取り込んで “SF小説” として新たに歩みだし、社会的にも認知されはじめた戦後の日本、その日本SF第1世代の “電子計算機付きブルドーザー” として、様々なテーマ、様々な文体を駆使してSF小説の可能性を試しつつ、ファン層の拡大に努めた巨匠、小松左京の自伝です。日経新聞「私の履... 2025年3月14日 探訪堂主人
書評記事 第11話 スタイン『不可能、不確定、不完全』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ この世には「望めないこと」、「測れないこと」、「決められないこと」に関する確かな事実が存在する、、、。本稿、第11話では、数学的言語がこの世界を如何に説明するかをまとめた物語、スタイン『不可能、不確定、不完全』を読み解きます。扱うのは、アローの不可能性定理、ハイゼンベルクの不確定性原理、ゲーデルの不完全性定理だけで... 2025年2月21日 探訪堂主人
書評記事 第10話 マグレイン『異端の統計学 ベイズ』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 私たちの時代の統計学の教科書にも、その片隅に「原因の確率」という項目があって、いろいろな種類の演習問題をベイズの定理で解かされたものです。ベイズ流の統計手法は、今や、AI やデータサイエンス分野の統計的推論においては必須テクニックです。本書『異端の統計学 ベイズ』では、ベイズ統計学が、長い間、異端視されて苦難の道を... 2025年1月24日 探訪堂主人
書評記事 第9話 ミラー『ブラックホールを見つけた男』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 巨大な質量をもつ恒星が、勢いを失って膨張し自重を支え切れなくなって崩壊する、というワクワクするシナリオがあります。崩壊の結果、星を形成する物質は圧し潰されて “固くなる” ものの、いずれは重力と釣り合って平衡するはず。ところが、英国行客船のデッキで、ふと思いついて,白色矮星を構成するプラズマ状物質内の電子の速度を、... 2024年12月20日 探訪堂主人
書評記事 第8話 北川敏男編『續サイバネティックス』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】 ◉ 日本學術會議主催の「サイバネティックス」討論會、概念理解に的を絞った第1回討論會に対し,1953年9月の第2回討論會では、サイバネティックス的なシステム構築の要となる重要概念 “自動制御機構と情報通信過程” の詳細を取り上げます。自動制御工學、通信工學、物理測定論、脳生理學のパイオニアが登壇、白熱した議論が展開され... 2024年10月11日 探訪堂主人