第11話 スタイン『不可能、不確定、不完全』を読み解く ❖ 理系書探訪【書評記事】

この世には「望めないこと」、「測れないこと」、「決められないこと」に関する確かな事実が存在する、、、。本稿、第11話では、数学的言語がこの世界を如何に説明するかをまとめた物語、スタイン『不可能、不確定、不完全』を読み解きます。扱うのは、アローの不可能性定理、ハイゼンベルクの不確定性原理、ゲーデルの不完全性定理だけではありません。本書で扱われる「できない」に関するさまざまな言明は、数学的な検証を経て人類が確信したもので、強固な基盤をもちます。そして、“人智の限界” というより、むしろ、社会や自然や論理の真の姿を、共通言語である数学を介して我々に教えてくれるのです。

1.スタイン『不可能、不確定、不完全』の紹介

その昔、古書店で手に入れたジェイムズ・D・スタインの原書、

  • 数学は世界をどう説明するか: 自動車修理から現代物理学まで、数たちの能力についてのガイドHow Math Explains the World: A guide to the Power of Numbers, from Car Repair to Modern Physics)』

が翻訳されて、2011年11月に早川書房の単行本、2012年11月にはハヤカワ文庫ノンフィクションの1冊

ジェイムズ・D・スタイン『不可能、不確定、不完全: 「できない」を証明する数学の力』、ハヤカワ文庫(〈数理を愉しむ〉シリーズ;2012)、pp.438

に加えられて出版されました。表紙の雰囲気がまるで違いますが、もちろん、内容は同じです。

スタイン『不可能、不確定、不完全』目次

前置き
11月分の収支明細

緒言
序論 修理に出した車はなぜ約束の日にあがってこないのか?

第1部 宇宙の記述
第1章 万物の尺度/第2章 現実との整合性/第3章 すべてのもの、大なるも、小なるも

第2部 不完全な道具箱
第4章 不可能な作図/第5章 数学のホープ・ダイヤモンド/第6章 その二つ、決して見えず
第7章 論理にさえ限界がある/第8章 空間と時間:これで全部?

第3部 情報:ゴルディロックスのジレンマ
第9章 マーフィーの法則/第10章 秩序なき宇宙/第11章 宇宙の原材料

第4部 到達できないユートピア
第12章 基盤の亀裂/第13章 密談の部屋/第14章 鏡のなかにおぼろに

訳者あとがき/原註

本書は、カリフォルニア州立大の名物数学者、ジェイムズ・D・スタイン、初めての著作で、社会科学、現代物理学、数理論理学などにおける、この世の本質的な理解が、数学的論証の力によって深められていくという事例を巡りながら解説したものです。邦訳本のタイトル『不可能、不確定、不完全』には、やや違和感を感じますが、原題のような『数学は世界をどう説明するか』のままでは、読者が限定されて日本では売れないだろうと思った次第です。参考のために,原著、カバー左袖から、少し紹介しましょう。

邦訳本のタイトルになった社会科学のアローの不可能性定理、現代物理学のハイゼンベルクの不確定性原理、数理論理学のゲーデルの不完全性定理について、本書では、

二〇世紀後半になると、私たちの知る能力や行なう能力の限界を示す帰結が多くの分野で数々導かれたが、この三つが文句なくビッグスリーと言えよう。/ビッグスリーには共通点がいくつもあるが、まずは、どれも数学的な帰結であり、その妥当性は数学的な証明によって確立されたという点を挙げたい。 スタイン『不可能、不確定、不完全』、ハヤカワ文庫版、p.20

と述べています。とはいえ、本書は、これら「三大・できない定理」の解説に終始するわけでなく、数理的手法を重要な手段として使う数理科学の分野における共通言語としての数学の威力を、エッセイ風に語った本といえるでしょう。ときおり現れる意味深いのか、的外れなのか、直ちに判別できないたとえ話しや、説明なしに登場する専門用語、読者の理解を促すという観点からは、その有効性に疑問符のつく数式の展開などに苦戦しながらも、数理の世界を巡回する観光バスに乗った気分になれます。

スタイン、初めての著作なので、大目に見てあげましょう。私、探訪堂も未読ながら、スタインの最近の著書をあげておきます:

  • シュレーディンガーの猫の運命: 数学とコンピューターで直感に反するものを探求するThe Fate of Schrodinger's Cat: Using Math and Computers to Explore the Counterintuitive、2020)』
  • 数学に魅了されて: 数学の永遠の魅力Seduced by Mathematics: The Enduring Fascination of Mathematics、2022)』
  • 科学のマイルストーン: 私たちは如何にして宇宙の理解にたどり着いたかThe Milestones of Science: How We Came to Understand the Universe、2023)』

さて、本書『不可能、不確定、不完全』は、経営科学におけるスケジューリング問題を扱った序論のあと、4部構成の本論に突入します。各部(原著では「セクション」)には何となくタイトルが付いていますが、各部を構成する各章の内容が、そのタイトルと密接に関連しているかというと、そうでもなく、自由に語っています。

1-1 「第1部 宇宙の記述」を読む

『第1部 宇宙の記述』目次詳細

第1部 宇宙の記述
第1章 万物の尺度
わずか一字の違い/3と呼ばれているものとは?/多い、少ない、同じ/正の整数の集合/ヒルベルトのホテル/ポンジルベニア/ゲオルク・カントール (一八四五〜一九ーハ)/ヒルベルトのホテル:再び/連続体仮説/隙間を埋める/選択公理/矛盾のない公理系/連続体:現状
第2章 現実との整合性
パスカルの賭け/物理学者はつらいよ/数学理論と物理学理論の違い/二つの理論が交わるとき/標準模型/物理学の限界/理論が相争うとき
第3章 すべてのもの、大なるも、小なるも
華やかさvs実用性/これは一体どういう意味か?/リチャード・アーレンズ/何か質問は?/マックス・プランクと量子仮説/量子革命は続く/光は波か粒子か?/二重スリットの実験/アインシュタインと光電効果/物質は波か粒子か?/分かれる判定:ビームスプリッターを用いた実験/光子はどのようにして知るのか?/確率波と観測し人間の場合の例/誰かがあなたを観測するまで/シュレーディンガーの猫/量子消しゴム/不確定性原理/ロウワーウォビゴンで行なわれたある調査/量子の絡み合いと、アインシュタイン゠ポドルスキー゠ローゼンの実験/ベルの定理/第一ラウンド

第1章は、数学の宇宙を構成する「数」にまつわる話し。カントールの連続体仮説と選択公理を展望します。数千年もの間、数をあつかってきた数学が、そもそも数とは何か、という問いに本気で目覚めたのはごく最近の話しで、19世紀後半です。その際、議論になったのは、可算無限個(自然数の列で差し示す無限)の集合たちから、それぞれひとつの要素を同時に取り出せるか、という問題です。これを認めることを「選択公理」の立場といいます。この選択公理は、ユークリッド幾何の平行線公理と同様、証明できず、選択公理を認めない立場も可能です。ところで、ひとつの実数を表現する場合、ひと組の可算無限個の自然数を必要としますから、自然数と実数は「数としての濃さ(1対1の対応関係の有無で判定)」が違います。実数の濃さを連続体の濃度といいます。第1章は、連続体を認めないと、円という概念も使えず、これを多角形で代用しなくてはならないという、とても不便な世の中になる、と結びます。

第2章は、素粒子物理の標準模型の話題を引き合いに、公理体系から出発する数学と、観測事実から出発する物理学の風土の違いを説明します。そして、第3章では、量子革命と不確定性原理が展望されます。不確定性原理は、人間の測定能力の不足を表すものではなく、量子力学的世界の根幹に存在する帰結であることが説明されます。そして、不確定性原理を否定するために登場した議論に起源をもつ摩訶不思議な「ベルの定理(ベルの不等式;量子もつれ)」の議論に移ります(2022年ノーベル物理学賞)。選択公理の話しがゲーデルの不完全性定理に関連する話題であり “公理系の選択” の話しであるのに対し、不確定性原理は物理学の成立要件である “観測” に関する見方を根底から揺るがすものとの位置づけで、スタインは、この対比を、第2部以降の議論の出発点に据えたようです。

1-2 「第2部 不完全な道具箱」を読む

『第2部 不完全な道具箱』目次詳細

第2部 不完全な道具箱
第4章 不可能な作図
教団/史上初の変病大流行/数学界のモーツァルト/ピエール・ワンツェルー知られざる神童/円を正方形にするのが不可能であること/不可能から学ぶ/帰ってきたピュタゴラス学
第5章 数学のホープ・ダイヤモンド
呪い/数学者の就職面接/初期の成果:一次方程式と二次方程式の解/デル・フェロとくぼみ三次方程式/才知の決闘:武器は方程式/カルダーノとフェラーリ:頂上を極める/五次方程式の非可解性/パオロ・ルッフィーニ/群論入門:特に置換群/ニールス・ヘンリック・アーベル(一八〇二~一八二九)/エヴァリスト・ガロア/ガロア群/その後の成り行き
第6章 その二つ、決して見えず
大人になったら/異論のない幾何学/平行線公準/ジローラモ・サッケーリ/針先で踊る天使し再び/数学界のモーツァルトによる未発表交響曲/ヴォルフガングとヤノシュのボヤイ父子/ニコライ・イヴァーノヴィチ・ロバチェフスキー(一七九二~一八五六)/歴史は繰り返す/エウジェニオ・ベルトラミと、パズルの最後のピース/宇宙の幾何学はユークリッド幾何学か、それとも
第7章 論理にさえ限界がある
ライアーライアー/数学界の巨人/ペアノの公理/ポストドク、旋風を巻き起こす/ゲーデルの不完全性定理の証明/停止性問題/どれが決定不能か、または決定不能かもしれないか/語の問題:スクラブルの話ではありません/ここからそこへ必ず辿り着くか?
第8章 空間と時間:これで全部?
第二の解/表の空欄/幅がマイナスの庭/複素クッキー/標準模型/標準模型を越える/無限の向こう側/タキオン登場?/ひも理論/まだある、存在が予想されている粒子/パーソン・オブ・ザ・ミレニアム/パーソン・オブ・ザ・センチュリー/宇宙の幾何学/別の表の別の空欄/奇跡的な幸運/標準模型:再び/余剰次元、蘇る/「知りえない」の影

第2部は、意味深いような、そうでもないような何かを暗示するタイトルが付けられた五つの章で構成されます。各章、ひとつの主題で貫かれているわけでもないようですが、あえて要約すれば、

といった感じでしょうか。

第4章と第5章は数学の分野における代表的な不可能定理を扱います。古代ギリシャの数学者、ピュタゴラスの秘密結社は「2の平方根」は有理数では表現できないもの考えて、無理数の存在を信奉していたという話しから始まり、作図問題に関するさまざまなエピソードが披露されます。第5章には、5次方程式の解の公式が存在しないという事実をめぐる三人の不運な数学者の話しが続きます。

第6章と第7章のテーマは、数理論理学におけるゲーデルの不完全性定理です。この定理は〔しっかりした内容をもつ〕数学の体系について「無矛盾かつ完全な体系は作れない」などと表現されていて、これから「どんな数学の体系もそのなかに証明も否定もできない言明が存在する」ことなどが導き出されます。ここで、「完全」というのは、その公理体系で表される数学的言明ならば、その真偽は常に判定できることであり、「無矛盾」というのは、その公理系から論理的に帰結されるすべての言明が真であって同時に偽でないことをいいます。嘘つきクレタ人の話しですね。あるいは、「この命題は偽だ」という言明です。この言明自体の代入を続けると、「「この命題は偽だ」は偽だ」、「「「この命題は偽だ」は偽だ」は偽だ」、、、となって、この言明の真偽の判定が困難であることがわかります。第7章の後半では、ゲーデルの不完全性定理の証明方法が分かり易く説明されています。

第8章は、おそらく本書で一番の難所で、読者に多くの謎を投げかけます。ディラックの反電子の話しから始まって、光が粒子か波かという相補性原理に進み、素粒子の標準模型の議論に立ち戻ります.マックス・テグマークの並行宇宙論、さらにユージン・ウィグナーの「数学の不合理なまでの有効性」にも話しが及び、

と続けたうえで、もし、誰かが賭けを持ちかけてきたら、こちらに賭けると結んでいます。

1-3 「第3部 情報 —— ゴルディロックスのジレンマ」を読む

『第3部 情報 —— ゴルディロックスのジレンマ』目次詳細

第3部 情報 —— ゴルディロックスのジレンマ
第9章 マーフィーの法則
もう一度整備工場へ/「難しい問題」の難しさ/名刺ホルダーをひっくり返したら/巡回セールスマン問題/貪欲さはいいことばかりではない/一つを解くとすべて解ける/クックの「かみごたえのありすぎる問題」の例/主要な問題/専門家の意見/DNAコンピューターと量子コンピューター/ほどほどで妥協する
第10章 秩序なき宇宙
予測できないものの価値/ランダムな動きをするものがランダムなもの/理想的にランダムなコインを探す/位取り記数法-数の「辞書」/円周率πに隠されたメッセージ/転がるサイコロ:未来を予測できないのはなぜか?/カオスをのせたらオーブンで焼きましょう/実験室の中のカオス/奇妙な変化/カオスはいたるところに
第11章 宇宙の原材料
まじめが肝心/厳しい状況におかれて/究極の資源/エントロピーが増大する理由/エントロピーを別の角度から見る/秩序と無秩序/エントロピーと情報/ブラックホール、エントロピー、そして情報の死/宇宙とレイア姫/数学はこれをどう考えるか/盲目のホログラム職人

第3部は情報科学の話題、計算複雑性の議論から始まります。情報もエントロピー増大則の支配下にあって、宇宙の進化とともに無秩序化するものの、最後には、物質や光とともにブラックホールに吸引される、、、。 ところが、ブラックホールのホーキング放射の議論によれば、ブラックホールのエントロピーは表面積に比例する一方で、ブラックホール自体はやがて蒸発して表面積を減らしていくのです。この部に含まれる三つの章を要約すれば、

となりそうですが、こんな感じでしょうか。

1-4 「第4部 到達できないユートピア」を読む

『第4部 到達できないユートピア』目次詳細

第4部 到達できないユートピア
第12章 基盤の亀裂
民主主義の基盤/投票のパラドックス/真の勝者は誰か?/不可能性定理/アローの定理の現状/アローの定理の未来/ここで自分の取り組んでいる問題について考える
第13章 密談の部屋
可能性の技術/ギバード゠サタースウェイトの定理/公平な代表制/アラバマ・パラドックス/人口パラドックス/新州加入のパラドックス/バリンスキー゠ヤングの定理/最近の展開
第14章 鏡のなかにおぼろに
半分満ちたグラス/年齢の影響/行き止まりの分類/当たっていそうな二つの予測/列車からの転落/アクイナスの足跡をたどって/私は自分の好きなものを知っている/究極の問題

さて、最後の第4部は、社会科学の重要な結果、アローの不可能性定理が主題です。

私、探訪堂は、米国のシンクタンク、ランド研究所の1950年頃の動向調査を趣味としていますが、このケネス・アロー(1921-2017)は、まさに1950年にランド社にコンサルタントとして正式採用された経済学者で、1972年にノーベル経済学賞を受賞しています(所属はシカゴ大学、スタンフォード大学、ハーバード大学、スタンフォード大学と目まぐるしく変わります)。独裁者を擁するソ連の行動予測モデルの構築に携わる一方、1951年に博士論文『社会的選択と個人的評価』を出版します。残念ながら、ランド社における合理的選択理論の報告書の多くは、今も機密指定が解かれていないようです。

当サイトの関連記事: ランド研究所

アローの不可能性定理は、別名、一般可能性定理とも呼ばれていて、投票行動に当てはめれば、

多数の選択肢と多様な意見がある場合、投票システムが完全に公平になることはないランド研究所HP「1948年からランド研究所のコンサルタントを務めたノーベル賞受賞者ケネス・J・アロー氏が95歳で死去」より

というものです。第4部の各章を要約すれば

でしょうか。第14章は、第4部というより、本書全体のエピローグのような内容で、人類の知の地平線を見渡す位置に立ったスタインの感慨のようなものが述べられています。

2.ハイゼンベルクの不確定性原理

スタイン『不可能、不確定、不完全』の「三大・できない定理」の一つ目は、ハイゼンベルクの不確定性原理です。

粒子としての電子が原子核まわりの微小領域を毎秒100万メートルほどの速度で動き回っていて、ある瞬間の電子の位置と運動量(速度)が、同時には厳密に分からないからといって、何か不都合でもあるのか、などと単純に考えてしまいます。誤差の積と言えばプランク定数のオーダーですし。疾走するポケモンのニャースの足がぐるぐる巻きで描かれて何が悪いのだろう?と思ったりします。

それはさておき、ハイゼンベルク自身は、この不確定性原理が極微の世界での原因と結果を結びつける因果律の不成立を意味すること、そして、これは大変、深刻な事態だと述べています。

スリットを抜ける電子の列がスクリーン上ではそれぞれ点として現れるのに、数を重ねると点列は滲みはじめて波動の様相を帯び、その滲みの程度が不確定性を表すと説明されれば、そう言えば粒子と波動の二重性の話しかと納得しますが、スクリーンに当たった瞬間に粒子として振る舞う理由が “波束の収縮” などと言われても困ってしまうわけです。ところで、因果律破綻といえば宇宙開闢かブラックホールかとSF界隈の話題に短絡してしまいますが、どうやら、不確定性原理には、そのような深い秘密、“闇に隠された宇宙の整合性” にまつわる話しが潜んでいるらしいのです。

さて、このコーナーでは、不確定性原理を丁寧に説明した本を紹介しましょう。

2-1 並木美喜雄『不確定性原理: 量子力学を語る』

共立出版の「物理学 one point」シリーズといえば、物理学の面白さに魅了され、それを職業に選んだ先生方に、あえて自身の苦難の道を語ってもらい、如何にして急所をおさえ難所を突破したかを正直に白状してもらう、という編者、小出昭一郎・大槻義彦の “企み” によって生まれたシリーズです。新書判よりやや幅広のB6判(128x182)という大きさで、ページ数も100から150ページ程度です。『エントロピー』、『電場・磁場』、『質量』からはじまって『角運動量保存則』までの全30巻です。現在、そのうちの19巻が、国立国会図書館の個人送信サービスで閲覧できます。

スタイン『不可能、不確定、不完全』の読者のために用意されたような一冊があります。日本の量子力学、素粒子論の大御所、並木美喜雄(1925-2010)の著作で、量子力学の教科書の副読本です。

並木美喜雄『不確定性原理: 量子力学を語る』、物理学 One Point 18、共立出版(1982)、pp.149

インターネットで読める

並木美喜雄『不確定性原理: 量子力学を語る』、物理学 One Point 18、共立出版(1982)、pp.149

つぎのバナーから入ります(PC、タブレット推奨)。未登録ならば「本登録」に進みましょう。詳細、《当サイトの案内記事》参照。

本書、冒頭の「はじめに」は A君、B君の会話で構成されますが、その最後で、

とB君に言わせていて編集方針を皮肉っていますが、量子力学の「むずかしさ」の根は不確定性原理にあるのにもかかわらず、十分な時間をかけてこれを説明した本がないと述べて、本書のねらいを明らかにします。

さて、目次を見ておきましょう。
第1章の冒頭から、不確定性関係を表す数式が登場して、慣れない読者は面食らいますが、そんな方は第2章から読み始めましょう。第3章はディラックの有名な教科書の話しから始まって、量子力学的波動の話し、観測問題などが説明され、さらに、波動力学、シュレーディンガー方程式の解法へと突き進みます。そして最終章で再び不確定性原理へと戻り、位置と運動量の不確定性関係が軌道角運動量にまで及ぶという話しが、厳密に展開され、原子中の電子の雲の話しなどが腹の底から理解できます。

並木『不確定性原理: 量子力学を語る』目次

はじめに
1 不確定性原理をめぐる問題
2 どんな波にも不確定性関係はある
2-1 ギターの音の高低をしらべよう/2-2 正弦進行波と波動の方程式/2-3 波動現象と不確定性関係/2-4 数学的補足
3 量子力学と不確定性原理
3-1粒子と波動の二重性: 量子力学成立の実験的基盤を問う/3-2 量子力学的波動とは何か/3-3 波動力学の運動法則/3-4 不確定性原理に量子効果の姿を見るI: 不確定性関係の定式化と思考実験/3-5 不確定性原理に量子効果の姿を見るII: 定常状態,時間・エネルギーの不確定性関係、自由粒子波束の拡散
4 波動力学から量子力学へ
4-1 一般的な力学量を扱う/4-2 ふたたび不確定性原理について語る
おわりに/参考文献/索引

2-2 原康夫『量子の不思議: 不確定性原理の世界』

素粒子物理学の原康夫には、共立出版「モダンサイエンスシリーズ」の一冊に『素粒子の起源』(1980)という本があり、学生向けの副読本のなかではバツグンの読みやすさでした(国立国会図書館の個人送信サービスで読めます)。その原が一般向けに量子力学と素粒子、EPRパラドックスまでの話題を書き下ろした本を国立国会図書館の個人送信サービスで読むことができます。

原康夫『量子の不思議: 不確定性原理の世界』、中公新書 751(1985)、pp.200

インターネットで読める

原康夫『量子の不思議: 不確定性原理の世界』、中公新書 751(1985)、pp.200

つぎのバナーから入ります(PC、タブレット推奨)。未登録ならば「本登録」に進みましょう。詳細、《当サイトの案内記事》参照。

並木『不確定性原理』は初学者向けの副読本とは言え、代入操作を伴う数式の展開で話しが進むのに対し、本書、原の『量子の不思議』は概念の説明のために数式が現れることがあっても、ややこしい式の展開はありません.並木は横書き、原は縦書きの新書判で、一般向けの読み物に仕上がっています。身近な例から原子の世界の具体例まで、数字を示して解説しています。第3章の不確定性原理の説明では、月と地球の間の距離を測るためのレーザー光線を使った実験が説明されていて、同じテキサスに光が戻ってくるために、月面にどのような反射鏡を置いたかということが明らかにされています。

原康夫『量子の不思議: 不確定性原理の世界』目次

第1章 量子の世界の二つの特徴: 原子の同一性と不確定性
第2章 光は波であり粒子である: 量子の不思議の核心はここにある
第3章 不確定性原理: 粒子と波の二重性を要求する原理
第4章 原子の調和: 見えない箱に閉じ込められた電子の定常波
第5章 メビウスの環: 二回転して初めて元に戻る現象
第6章 なぜ原子は大きいのだろうか: パウリさん、排他原理の一部でも撤回されては
第7章 量子の階段: 自然にはなぜ階層性があるのだろうか
第8章 アイデンティティの喪失: 区別のつかない粒子の示す多彩な量子の世界
第9章 トンネル効果: 量子は障害物を通り抜ける
第10章 鏡の中の世界と現実: 量子の世界で見出された対称性の破れ
第11章 真空とは何か: スーパー真空こそ真の真空である
第12章 歴史をたし上げる: 量子の歴史はあらゆる道筋の重ね合わせである
第13章 量子力学のパラドックス: 遠く離れても、なお不可分一体のごとく振舞う量子
あとがき

3.ゲーデルの不完全性定理

スタイン『不可能、不確定、不完全』の「三大・できない定理」の二つ目は、ゲーデルの不完全性定理です。

ゲーデルの不完全性定理は数学を記述する言語に関する《数学的な議論》に属していて、これをメタ数学というそうです。たとえば、「x=0 は真である」は数学の言明、「x は変数である」はメタ数学の言明という具合です。非ユークリッド幾何の誕生を、数学の土台を揺るがす驚異と感じたヒルベルトは、ユークリッド幾何学の各公理と各定理の関係を緻密に分析し、やがて形式主義という概念に行き着きます。

“言葉の意味” というのは、結局のところ、その言葉の使用法の総体に他ならないということを、数理論理学の本で学んだ記憶があります。19世紀の無限集合論が深刻なパラドックスや、選択公理、連続体仮説など真偽不明の言明を内包していたことを契機に、数学基礎論という分野が誕生し、たとえば、ホワイトヘッド゠ラッセル『プリンキピア・マテマティカ』という論理主義数学基礎論の大著が出現します。一方のヒルベルトといえば、彼自身の形式主義路線をひた走ります。幾何学の基礎理論については、本来の言葉を離れて、

という有名な要請を課し、また、晩年には、「(哲学者コントが解決不可能な問題を見いだし得なかったことの真の理由は、解決不可能な問題は存在しないという事実による」などと述べて、デュ・ボア゠レイモンの不可知論を否定、純粋数学を擁護し賛美します。この1930年夏のケーニヒスベルクでの有名な講演の録音の最後には、講演直後のヒルベルトの高笑いが記録されているそうです。ところが、同じ年の秋、ヒルベルトは、クルト・ゲーデルという若い数学者の論文を受け取り、数学を論理学の一分野に取り込もうというラッセルの野望とともに、自身の長年の夢も打ち砕かれたことを知るのです。ゲーデル、恐るべしです。

3-1 竹内薫『不完全性定理とはなにか 完全版』

数学基礎論や数理論理学の先生方といえば、超数学だけに、超厳密で超堅苦しいそうで、日常会話においてもその論理的矛盾を突かれそうでビビってしまう訳ですが、それとは正反対(?)のサイエンス作家、竹内薫の『不完全性定理とはなにか』(2013; ブルーバックス1810)が装いも新たに《完全版》として蘇りました。

導入部分の心優しきプログラマーさんと鬼の先輩プログラマーさんの小話は、途中から謎の無精髭のおじさんも乱入してミステリーな仕上がりです。このおじさんがいったい誰なのかという愉しみな課題ができました。本書、著者が「はじめに」で述べているように、旧著にあった表現の不具合等々は、数学基礎論の専門家に精査をお願いして万全を期したとのこと。不完全性定理、、、安易に手を出すと心にトゲが刺さるそうです。恐ろしいテーマです。しかし、今回は大丈夫、まさに《完全版》です。

新書判の1冊で不完全性定理を理解できる本には、なかなか出会えないものですが、本書『不完全性定理とはなにか 完全版』は、論理学の最初に登場する真理表からはじまって、ペアノ算術といった自然数論の基礎から丁寧に解説されます。その直後、不完全性定理の証明のあらすじが議論され、不完全性定理の “コンピュータ版” としてのチューリングの停止問題に進みます。巻末には、『宇宙と宇宙をつなぐ数学: IUT理論の衝撃』の著者、加藤文元氏との特別対談「不完全性定理: 数学と哲学の交差点から」を収録しています。多方面で大活躍の加藤先生との対談、必見です。

竹内薫『不完全性定理とはなにか 完全版: ゲーデルとチューリング 天才はなにを証明したのか』、講談社ブルーバックス(2024)、pp.277

3-2 田中一之、バラマツヒトミ『山の上のロジック学園: 不完全性定理をめぐる2週間の授業日誌』

田中一之氏は、2006年のゲーデル生誕100年を記念して出版された『ゲーデルと20世紀の論理学ロジック(全4巻)』(東京大学出版会)の編者です。待望の専門書、田中一之『数学基礎論序説: 数の体系への論理的アプローチ』(裳華房)の出版は2019年6月でしたが、その半年後に出版された物語風の入門書が

田中一之、バラマツヒトミ『山の上のロジック学園: 不完全性定理をめぐる2週間の授業日誌』、日本評論社(2019/12)、pp.242

です。2016年4月からの1年間に、月刊誌『数学セミナー』に連載された記事を集めたとのこと。「いい本だからぜひ読んでみて」と友人に奨められて手にとりましたが、なんと、表紙がバラマツヒトミ氏。

物語は、仙台市郊外の丘陵地らしき場所に建つロジック学園で2週間にわたって行われた特別入門授業と、最終日に発生した東日本大震災の体験を、チューターの青葉レオの日誌と授業ノートによって再現した、という設定で進みます。留学生、高専生、フリーター、教員志望大学生、新米編集者、謎の学徒などが受講生として登場し、彼らの会話文、手書き風の板書、問題、授業風景を切り取ったイラストなどで構成されています。今風のイラストから想起される内容とは違って、レベルは高く読みごたえ十分で侮れません。また、さまざまなレベルの会話が再現され、そこから得られる情報は、数学基礎論の一般的な入門書にはないものです。

3-3 森 毅『無限集合』

ひところ、一世を風靡したエッセイスト、京都大学名誉教授、森毅には、共立出版、数学ワンポイント双書に2冊ほどの著書があります。4の『無限集合』と14の『存在定理』です。共に国立国会図書館の個人送信サービスで閲覧できます。今回のテーマに関連するのは、

森 毅『無限集合』、数学ワンポイント双書4、共立出版(1976)、pp.100

です。この無限集合論のなかで、20ページほどを割いて不完全性定理が説明されています。形式化された論理規則は有限長の文字列で表されることから、各規則に自然数の番号を振ることができる。その番号をその論理式のゲーデル数と呼びます。可算無限個を想定します。ゲーデルの理論は自然数論と密接に関連しているという訳です。そのとき、どんな論理式 f をとってきても、その否定が f 自身に等しくなければ、その規則で構築される理論を整合的であるといいます。また、論理式にモデル(理論のひとつの解釈) x を代入してそのゲーデル数を求める関数を代入関数、ゲーデル数で真偽を判断する関数をタルスキの真理関数と呼んでおきます。これらの準備のもとで

  • 代入関数をもつ整合的な理論では、真理関数は存在しないタルスキの定理

が得られます。さらに、この議論に「証明関数」なるものを追加すると、ゲーデルの不完全性定理

  • 代入関数を持つ整合的な理論で、証明関数があればこの理論は完全ではない

が得られるという議論です。簡潔です。何となく分かったような、そうでもないような感じですが、ごまかされたと思った方は、竹内薫『不完全性定理とはなにか 完全版』と論法を比較してみましょう。

インターネットで読める

森 毅『無限集合』、数学ワンポイント双書4、共立出版(1976)

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3-4 ホフスタッター『ゲーデル,エッシャー,バッハ』

ダグラス・R・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ: あるいは不思議の環』、白揚社(1985:pp.765/2005:20周年記念版 pp.808)

数理論理学者ゲーデル、版画家エッシャー、バロック音楽のバッハ。この三人が生涯をかけて追い求めたテーマを探検する物語です。A5判よりやや大きなサイズの本で、縦書き2段組み、全765ページ(1985年版)という大作です。字形的数論 TNT をおもちゃとして登場させて遊んでみたり、禅の無門和尚が登場したりと、ゲーデルの不完全性定理を巡りつつ、計算機科学や生命科学にも踏み込んで、さまざまな思考実験を繰り広げます。読むというより、亀やアキレスや蟻食らと対話しながら、机上演習を楽しむ本です。

4.アローの不可能性定理

スタイン『不可能、不確定、不完全』の「三大・できない定理」の最後は、アローの不可能性定理です。

アローの不可能性定理、それ自体は、《厚生経済学および社会選択論》の枠組みのなかで議論されています。A.M. フェルドマン『厚生経済学と社会選択論(1983、初版)』によれば、

基本的問題は、“ある特定の経済機構ないし投票機構は、社会にとって良いだろうか悪いだろうか”、ということである。厚生経済学は市場機構が良いのか悪いのかに主に関連し、社会選択論は、投票機構が市場の結果を改善しうるかどうかに専ら関連する

とされています。厚生経済学はアダム・スミス(1723-1790)以来の長い歴史をもっていて、さまざまな資源配分体系のなかでも、“価格体系” には特別な長所があるという主張から出発します。市場価格によって資源配分する組みを《市場機構》といい、これについて、厚生経済学の基本定理と呼ばれるつぎの結果が知られています。

ここで、パレート最適は、資源配分の状態が、「他メンバーの効用を減らすこと無くあるメンバーの効用を増加することはできない」という意味で使われます(個々人の効用が比較不能であることから、各人の効用の総和という概念が無意味となり、その代替としてイタリア人社会学者のパレートが提唱した)。

アローの不可能性定理は

  • 全ての可能な選好の組合せについて判断可能であり、パレート最適性と独立性、非独裁制と満足する社会厚生関数は存在しない

と表現されるもので、厚生経済学の第三基本定理と位置づける研究者もいます(詳細は下記《4-1》参照)。この結果を、経済学ではなく政治学の定理とする研究者もいます。

4-1 「アローの不可能性定理」の文献

アローの不可能性定理は、本稿のタイトル本『不可能、不確定、不完全』のなかでは「第4部 到達できないユートピア」の二つの章で扱われています。原註に示された論文

アローの元論文(1950)

は、米アンドリュー・メロン財団が運営する電子図書館 JSTOR(ジェイストア)などで読むことができます(学術組織に所属しない場合、独立研究者として登録可能です)。サミュエルソンやコンドルセの議論を踏まえつつ、アローの不可能性定理を丁寧に説明した加藤晋氏の邦文論文があり、こちらは国立研究開発法人の科学技術振興機構が運営するオープンアクセスの電子ジャーナル支援サイト J-STAGE で読むことができます。

この話題、最近では、機械学習とかビッグデータ解析への応用が議論されています。多目的最適化とか、多目的計画法と呼ばれた分野の重要なテーマでもあります。

4-2 ケネス・J・アロー『社会的選択と個人的評価』

アローの社会選択の古典的教科書が、2007年ノーベル経済学賞者、エリック・マスキンの緒言をつけて第3版として蘇っています。

▶ ケネス・J・アロー『社会的選択と個人的評価 第三版』、勁草書房(2013)、pp.208

アロー『社会的選択と個人評価 第三版』目次

第三版への緒言(エリク・S・マスキン)/第二版の日本語訳への序文/第二版への序文/謝辞

第1章 序論
社会的選択の諸形態/分析のいくつかの限界
第2章 選好と選択の性質
効用の可測性と個人間比較可能性/選好と選択の表記法/社会状態の順序/合理性と選択に関する余談
第3章 社会的厚生関数
社会的選択の問題の形式的記述/社会的評価と個人的評価の正の関連/無関係な選択対象からの独立性/市民主権の条件/非独裁の条件/効用の合計
第4章 補償原理
補償の支払い/補償の可能性
第5章 社会的厚生関数の一般可能性定理
選択対象の数/二人の個人と三つの選択対象/一般可能性定理の証明/一般可能性定理の解釈
第6章 個人主義的仮定
仮定の記述/個人主義的仮定の下での可能性定理/準順序およびそれと両立する弱順序/一つの例/一財の世界/ゲームの理論における集団的選択/個人主義と結合した分配倫理
第7章 社会的厚生判断の基礎としての類似性
完全な全員一致/単峰型選好の場合/理想主義の立場と合意の概念/知識と社会的選択対象の意味/部分的な全員一致/価値としての決定過程
第8章 社会的選択の理論に関する覚書き: 1963年
史的論評/諸条件の形式的記述と証明の新しい解説/社会的選択の問題とは何か/無関係な選択対象からの独立性と強度の個人間比較/集団的合理性

訳者あとがき/索引

最近、同じ勁草書房から、アマルティア・センの教科書の新版

  • アマルティア・セン『集団的選択と社会厚生 拡大新版 (新版)』、勁草書房(2025)

も出版されたようです。

4-3 フローリック゠オッペンハイマー『政治選択の科学』

数理政治学の牽引者、N.フローリックとジョー・A・オッペンハイマーによる政治選択のための経済学の教科書です。各部、各章ごとに監訳者、訳者によるコラム記事が入っていたり、ミス日本コンテスト全国大会の写真が登場したりしていて、日本の学生への配慮がみられます。中身は、まさに数理政治学で、企業の意思決定問題における経営科学的なアプローチとの違いを際立たせようと、様々な工夫が見られます。

▶ N.フローリック、J.A.オッペンハイマー『政治選択の科学』、三嶺書房(1991)、pp.272

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▶ N.フローリック、J.A.オッペンハイマー『政治選択の科学』、三嶺書房(1991)

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フローリック゠オッペンハイマー『政治選択の科学』目次

監訳者として/日本語版への序文/序文

第1部 政治選択の経済学を始めるにあたって
第1部を読むにあたって/理論:政治の研究と実践のための手段/人間の本性と政治:政治的選択/選好の構造/合理性:われわれの制約条件の結果/文献案内
第1章 集団の選択
第1章を読むにあたって/個人的選好の社会的選択への関係付け/集団の選択に関する不可能性理論/アローの不可能性理論の概略と証明/集団の選択の手段再検討/文献案内
第2章 未組纖集団における集合行為
第2章を読むにあたって/政治的行為の目的:集合財/個人の行動と最適水準/集合的行動と準最適水準/文献案内
第3章 集合行為,限界費用の分担,偶発性を加味した選好
第3章を読むにあたって/限界費用の分担のための組織造り:閾値の設定/合理性仮定:再論/期待值最大化 集合行為/参加への障害の除去:排他的誘因の供給/文献案内
第4章 政治的組織化と政治的企業家
第4章を読むにあたって/企業家的リーダー/企業家的行動の様々な論理/自己中心的でない企業家:何が違うのか?/リーダーシップの倫理/文献案内

第2部 民主主義の政治秩序
第2部を読むにあたって/一連の決定規則としての民主主義/文献案内
第5章投票
第5章を読むにあたって/投票における合理的行動/ダウンズ型の投票者/ダウンズの投票の理論をテストする/合理的な無知/より情報を持つことは誰にとって合理的なのか?/投票以外の貢献と参加の形/文献案内
第6章 民主主義における政党綱領
第6章を読むにあたって/単一の手点と単除型の選好パターン/「空間的」競争としての選挙上の競争/立地に関する推論の久点/分配上の争点/投票取引と少数派の運合/いくつかの規範的な結論

文献案内/訳者あとがき/索引

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